根拠に基づくツールTools
根拠に基づく5つのツール
私たちは、12年間におよぶコホート研究により、約36,000人の保護者と子どもから詳細なデータを取得し、子どもの健やかな成長に影響する要因を分析し、5つの支援ツールを開発するとともに、その根拠を実践の場で生かす方法について整理しました。
これら5つの支援ツールと支援設計を活用することにより『子どもと保護者の真のニーズの見極めと気づき』による「的確な実践」「実践の評価」「よりよい実践へのフィードバック」という支援ループを活用した『根拠に基づく実践』の展開が可能になります。また、特段の配慮を要する子どもを早期に把握し、他機関と連携した質の高い支援を継続的に実施し、評価することができます。以下に5つの支援ツールの特徴を紹介します。
※紙ベースの各ツールは、「ツールのダウンロード」よりダウンロードできます。
※WEB版は、SITE MENUの「WEB園児支援システム」をクリックしてご確認ください。
一般発達評価票
遠城寺式乳幼児分析的発達検査法、デンバー式発達検査、新版K式発達検査など、 既存のさまざまな発達検査で使われている項目を参考に、複数の保育専門職の討論により、担当の専門職が評価できる項目に変更し、月齢順に並べたものです。満7歳までの「運動発達」「社会性発達」「言語発達」の3領域を設けており、それぞれ2つの小領域に分けてチェックできます。子どもを総合的に評価することで、子どもを客観的に捉えることができます。
社会的スキル尺度
就学前児を対象とし、社会的スキルの個人差を測定することができます。欧米の先行研究で繰り返し認識されている協調・自己制御・自己表現の3因子構造をもち、高い内的一貫性及び経時的安定性が示されています。また、併存的妥当性及び予測的妥当性が確認されています。
気になる子どもチェックリスト
子どもの全体的な理解と、支援が必要かどうかを見極めるために、実践の場の保育専門職の経験に基づいて作成されました。33項目あり各項目毎にその背景要因をチェックすることができます。
育児環境評価票
人的かかわり、社会的かかわり、社会的サポート、制限や罰の回避の4領域13項目で構成され、0〜6歳児の保護者を対象として活用することができます。育児環境評価HOME(Home Observation for Measurement of the Environment)の枠組みをもとに項目と領域が設定されており、日本での家庭訪問調査によりHOMEとの基準関連妥当性、将来の発達や気になる行動等との予測妥当性が検証されています。
保育環境評価票
「多様な保育ニーズ」に対応できる「専門技術の向上」を目指して開発しました。「子どもの最善の利益」を実現するために、子どもと保護者の多様な二一ズに応えるエキスを整理しています。日常の保育の質を向上させるための自己評価に有効なツールとして活用できるものです。
総合的な子育ち子育て支援のために
根拠に基づく5つのツールは、独立したツールとして活用することもできますが、「子どもにとって最善の利益」に向けて、複合的に活用し、総合的な子育ち・子育て支援を行うことが有効です。
例えば、全国夜間保育園連盟の「長時間におよぶ乳幼児保育の子どもの発達への影響に関する5年間追跡研究」は、発達評価ツール(一般発達・社会的スキル・気になる子どもチェック)と育児環境評価ツールを複合的に活用した取り組みです。新聞やマスコミなどで広く紹介され、厚生労働省などからも客観的な研究として高く評価されています。
また、「保育環境評価ツール」を活用し、「質の高い保育サービス」の提供に向た具体的な項目を確認することができます。例えば、園の職員研修で利用することにより、新人専門職でも中堅専門職でも、質のばらつきが少ない支援の提供が可能となるでしょう。
保育の実施は、専門職にとっては、子どもの健やかな育ちに直面し、さまざまな難しい場面に遭遇することもあるでしょう。つねに客観的な視点で現状を捉える眼を磨きつつ、よりよい支援のあり方を検討していく必要があると考えられます。
子育ち・子育て支援のプロ
自らの点検と評価:PDCAの実行
P | PLAN | 目標を定め、その目標に沿って計画を立てる。 |
D | DO | 計画を実行する 。 |
C | CHECK | 結果の確認・評価。 |
A | ACTION | 効果が上がらなかった点の改善。 |
評価ツールの可能性
